モーゼル地方 Mosel

モーゼル川、ザール川、ルーヴァー川流域のワイン生産地は、ドイツで最も古い産地として知られています。ローマ人がぶどう栽培の技術を大々的なかたちでモーゼル地方にもたらしたのです。モーゼル地方は伝統的なリースリング栽培地として高い名声を誇ります。特に高品質のリースリングは、国際的に評価が高く、同地方の名声を支えて来ました。モーゼル地方は、例えば、ヨーロッパで最も急な65度の勾配をもつ、ブレマー・カルモントのような、急斜面のぶどう畑で知られています。モーゼル地方はドイツで5番目に大きなワイン生産地で、世界的にも急斜面のぶどう畑が最も多く分布している地域です。


ロケーション

モーゼル地方は、ペルルからコブレンツに至る、モーゼル川のドイツ国内部分である243キロにわたる流域のほか、その支流であるザール川、ルーヴァー川流域に及ぶ一帯です。同地方は6つのベライヒに分かれています。下モーゼル流域のブルク・コッヘムというベライヒは、現在ではテラッセンモーゼルと呼ばれ、ぶどう栽培は主にテラス式の畑で行われています。ベルンカステルと呼ばれるベライヒは中部モーゼルと言われる、同地域の中心をなす一帯で、有名なワイン村や、ベルンカステラー・ドクター、ユルツィガー・ヴュルツガルテン、トリッテンハイマー・アポテーケといった名高いぶどう畑が集中しています。トリアの南からは、オーバーモーゼルと呼ばれる一帯になります。モーゼルトーアというベライヒはオーバーモーゼルの一部で、ザールラント州に属します。ザール流域でもワインは造られており、ルーヴァー渓谷はモーゼル地方の産地で最も小さい部分にあたります。

気候

モーゼルの谷は天候に守られた地域で、ドイツで最も温暖なゾーンのひとつに数えられます。川沿いのスレート土壌の急斜面のぶどう畑は、日中に太陽の熱を備蓄し、夜間に放熱します。気温は安定しており、冬は適度に寒く、夏は心地よい暑さで、充分な降水量があります。年間平均気温は約10度あり、北緯50度辺りの温暖な気候ゆえに、モーゼル地方の生育期間は4月から10月まで、非常に長期間にわたります。ぶどうの成熟を11月まで待つことが可能な年もあります。


土壌

オーバーモーゼルの、ドイツ、フランス、ルクセンブルク3国の接する地点から、ザール川上流のコンツの辺りまでは、ムッシェルカルク、コイパーが主体で、ブルグンダー系品種や土着品種のエルプリングにふさわしい底土となっています。シュヴァイヒからコブレンツまで、そしてザール川、ルーヴァー川流域はスレート土壌です。石灰質の混在しない土壌は、リースリングに類のないミネラリティをもたらします。

ぶどう品種

中部モーゼル、テラッセンモーゼル一帯、ならびにザール川、ルーヴァー川流域では、主にリースリングが栽培されています。リースリングは、地中深くまで根を張り、痩せた土壌から充分なミネラリティとフィネスを引きだします。リースリング以外の品種も栽培され、リヴァーナーは次に重要な品種です。オーバーモーゼルで見られる土着品種、エルプリングは2000年前から、すでにこの地で栽培されていたと推測されています。エルプリングからはフレッシュでフルーティ、シンプルな辛口ワインやヴィンツァーゼクトがつくられています。栽培面積が増えているのがヴァイスブルグンダー、グラウブルグンダー、オクセロワ、シャルドネで、石灰質土壌の畑で素晴しいワインを生み出しています。赤ワインにおいては、80年代後半からシュペートブルグンダーとドルンフェルダーがモーゼル川、ザール川、ルーヴァー川流域で栽培されるようになっています。

モーゼル地方早わかり

ロケーション フンスリュック山地とアイフェル山地にはさまれたライン・スレート山地、モーゼル川とその支流であるザール川、ルーヴァー川流域
気候 急斜面と渓谷では適度に温暖で、適度の降水量
土壌 オーバーモーゼル一帯はムッシェルカルク、コイパー、ザール川、ルーヴァー川渓谷はデボン紀スレート、ツェルの南は柔らかいスレートと珪酸の多いグレーワッケ
ぶどう畑 約8,800ヘクタール、ベライヒ6、総合畑19、単一畑524
ぶどう品種 リースリング、 ミュラー・トゥルガウ、エルプリング、ケルナー