ドイツワインコラム No.3

ワインは飲みたいけれど、価格が高い。そんなふうに感じている人も多いのではないでしょうか。

確かに、ワイン造りの伝統国であるフランスワインの価格は、近年上昇し続けています。なかでもブルゴーニュやボルドーワインの価格は右肩上がりで、ワイン愛好家でさえも「もう買えない」と溜息交じりに語ったりしています。

一方で、手の届きやすい価格のワインといえば、チリや南アフリカなどのワインを思い起こす人も多いでしょう。

でも、手頃なワインは決して新大陸だけではありません。ヨーロッパのワイン伝統国にもあるんです。そう、それがドイツワインなのです。

ぶどう栽培の北限の地ドイツで造られるワインは、張りつめた酸と果実味の調和が魅力で、世界中のプロから大変に高く評価されています。

そうでありながら価格は、大変にお手頃。世界で最も有名なワイン・ジャーナリストのひとり、ジャンシス・ロビンソンも良質なワインながら「価格が非常に魅力的」と語っています。

たとえば2020年にWines of Germany 日本オフィスが「今年の20本」として選んだセレクション「ドイツワイン 飲めば、きっと、好きになる」には、1000円代~2000円代のワインが多く含まれています。これはワインのプロ6人が、銘柄のわからない状態で試飲して、厳正な審査により選んだもの。つまり、どれだけドイツワインがハイコスパかがここでも証明されているというわけです。

ドイツワインの生産者の値付けがきわめて良心的なのは、いわゆる特級畑のワインでも、5000円以下で買えるものが少なくないことから見ても明らかです。

ただし、ドイツワインを選ぶときに、ラベルになんて書いてあるか読めないから買えない、という人も多いのでは? そういう人は、この20本のなかからまずは選んで、自分好みのワインを探してみてください。

ドイツの白で有名なのはリースリング。さらにはヴァイスブルグンダー(ピノ・ブラン)、グラウブルグンダー(ピノ・グリ)、シルヴァーナというぶどう品種で造られたワインも有名で、それぞれに個性が違いますから、ぜひ挑戦を。

また赤ワインのシュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)も注目です。ピノ・ノワールというとフランスワインとのイメージが強いかもしれませんが、近年はドイツにも良質なものが増えて、ワイン愛好家の注目の的になっています。

さらにはスパークリングも多く生産されています。ドイツは19世紀後半からスパークリングワインが造られてきた、知られざる泡大国。これからの初夏の家飲みにも、最高です。

(文:鳥海美奈子)


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