ドイツワインコラム No.6

ドイツといえば白ワイン、というイメージを持っている人は、決して少なくないのではないでしょうか。

ドイツでも、もちろん赤ワインは造られていますし、しかも近年はその生産量が年々増え続けているのです。

現在、ドイツのぶどう栽培面積のうち約33%が赤ワイン用ぶどう品種です。1980年頃は約1割に過ぎなかったので、いかに赤ワインの生産量が右肩上がりかがわかることでしょう。

なかでも、もっとも多く栽培されているのがドイツ語でシュペートブルグンダー、一般にピノ・ノワールの名で知られるぶどう品種です。

ドイツはフランスと米国に次ぐ世界で3番目に大きいピノ・ノワール(シュペートブルグンダー)の生産国で、実はピノ・ノワールという品種は884年にドイツのバーデン地方にあるボーデン湖で最初に確認されたのです。

1980年代に、野心的な生産者の一部がピノ・ノワールのプレミアム生産を実験し始めました。 彼らはぶどう園とセラーでこの繊細なぶどう品種の取扱いを改良しました。 さらに、より小さな果実と緩い房、そしてより濃い果実味とアーシーな香りで名高いフランスのピノ・ノワールのクローンをドイツに持ち込みました。ベストな気候条件と栽培の知識が伴うことで、ワイン生産者は赤ワインの味を最大限に引き出すことができます。 ピノ・ノワールは、その土地ならではの気候や土壌を映すのが特徴なのです。

現在、ワインの価格が高騰しがちな他国のピノ・ノワールと比較すると、まだまだ安価なのがドイツの赤ワイン。高品質でコストパフォーマンスのいいワインの代表格といえます。

地球規模の気候変動により、栽培面積が増加している他の赤ワインの品種があります。例えば、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、カベルネ・フラン、シラーなどのフランスのぶどう品種など。ドイツでの夏が暖かくなってきているため、現在これらの品種はドイツでの栽培が認められています。

また従来からドイツで栽培されてきたドルンフェルダーもとても優美で、注目を浴びています。

ドルンフェルダーは1955年に交配され、誕生したぶどう品種ですが、もはやドイツの伝統品種といっていいほどの存在感があり、人気も高まりつつあります。深い色あい、カシスやチェリーを思わせる果実の香り。タンニンも柔らかく、飲みやすいワインが多いので、日々の日本の食卓にも無理なく寄り添ってくれます。

その一方で、より軽い赤ワインのポルトギーザー、トロリンガー、シュヴァルツリースリングなどのワインは、現在減少傾向にあるのです。

気候変動とともに生産者の意識も変わり、世界的に見てもクオリティが高いと近年、注目されつつあるドイツの赤。ワインに興味のある方はぜひ、挑戦してみてください

(文:鳥海美奈子)


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